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零細ブラック企業の社長による、洗脳の恐怖ー完了編

「零細ブラック企業の社長による、洗脳の恐怖」シリーズ最終話!

【これまでのあらすじ】

零細企業の新入社員のB君とM君は、ブラックな社長に怒鳴り続けられ、精神的に参っていた。B君は、もう辞めてしまおうかと思ったが、社長の巧妙な洗脳術にじわじわとやられていく…

第一話:零細ブラック企業の社長による、洗脳の恐怖ー激怒編 

第二話:零細ブラック企業の社長による、洗脳の恐怖ー大激怒と肯定編 

第三話:零細ブラック企業の社長による、洗脳の恐怖ー飴と鞭編 

 

 社長はB君とM君に、プロジェクトの年間計画を立てるように言いました。しかし、入社直後の二人に年間計画など立てられるはずがありません。一日の仕事内容だって、社長の気まぐれで変わるぐらいですし、気まぐれと言えば勤務時間だって社長の気分によってまちまちですから、どうにも計画の立てようがありません。結局、二人がうんうん悩んでいる間に、社長はいつも通りB君に八つ当たりし、自分の言ったことを忘れてしまいました。

http://www.flickr.com/photos/36471726@N07/5196794227

photo by petesimon

 

さて今日も社長は絶好調で怒鳴り続けています。B君やM君がよかれと思ってした作業も、

「それ、なんか意味あんの?」

の一言で片付けられてしまいます。もう何をしたら怒られないのか分かりません。それでも怒鳴られたくはないので、社長の様子を伺いながら、びくびくと仕事をする毎日です。

朝、社長が出勤してくると、部屋の中の空気が凍り付き、二人は自発的な行動や発言ができなくなります。そうすると、今度はそれに対して社長が怒るので、無理矢理明るく振る舞ってみたりしますが、しばらくすると何かが社長の逆鱗に触れ、怒られる…この繰り返しです。

 

それでもB君は、真面目に頑張りました。毎日深夜まで残業し、自分なりに必死で仕事をこなしているつもりでした。同級生たちが何年もかかってやっとやらせてもらえるような仕事を一手に引き受けていることで、自分がいなければ会社が立ち行かなくなるという自負もありました。

なんとか社長に怒られない仕事をしようと、たとえ顧客のためにならないと分かっていても、社長の指示には素直に従いました。

いつの間にかB君は、社長の顔色だけを気にして仕事をするようになっていました。仕事とは関係ない話をしているときも、常に社長に気に入られるようなことしか言わなくなりました。同僚のM君から見ても、B君の社長に対する態度は行き過ぎでした。B君は常におどおどし、どんなにひどいことを言われても、素直に受け入れてしまっていました。

http://www.flickr.com/photos/99954951@N00/21425568

photo by NoMoon

 

ある日、B君とM君で、社長に指示された仕事を分担してやることになりました。内容を詳しく見ていると、二人とも今までやったことのないようなことが含まれていました。専門的にはどちらかといえばB君が今まで担当していた内容に近かったのですが、B君もきちんと理解をしていない部分でした。M君は、二人で協力して、社長の意見も加味しながらやれば良いだろうと思って、B君にそう伝えようとしました。

ところがB君は、何も言わず、その部分の指示書をM君の担当する書類の中に入れてしまいました。M君はびっくりしてB君の顔を見ましたが、B君は目を合わせることなく、自分の持ち場に戻ってしまいました。M君はとてもショックを受けましたが、B君の気持ちも分かります。B君は、分からないと言って社長に怒鳴られることが怖いのです。

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photo by snofla

とはいえ、やはりB君の裏切りとも言える行為はM君に衝撃を与えました。二人は今まで励まし合いながら頑張ってきましたし、社長のいないところでは素に戻って和気藹々とやっていたのです。M君は、B君だけでなく、とてもいいやつだった彼をこんな風にしてしまった社長にも怒りを感じました。そして、この状況下で仕事をすることに、突如諦めの気持ちが湧いてきました。

 

M君は、

「自分も人のこと言えないな…」

と思いました。冷静になって考えてみると、M君も社長の顔色を非常に気にしていました。社長が物音を立てるたびに、そちらを気にし、社長が目の前を通るたびに、何を言われるのだろうと気にし、顧客満足度よりも、社長に文句を言われない事を目標にして仕事をしていたことに気がつきました。

もはや、コンプライアンスなど関係なく、何が正しいかを自分で判断し、実行できなくなっていました。だから、B君もあのような行動に出たのです。

そうやって自分の行動を見つめ直した結果、M君は、洗脳から解放されました。

そうして改めてB君を見ると、とても正常な人間とは思えないほど、始終おどおどしていました。まるで虐待された動物のようでした。

B君は、社長に怒鳴られ自尊心を破壊されたあと、社長に都合の良い人間に改造されたのです。そしてそれは自分のためになると思わされているので、社長に依存してしまい、自分の頭で考えることができなくなってしまいました。

加えて、長時間の拘束によって、他人と接触する機会が極端に減った結果、この状況がおかしいことに気づけなかったのです。

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photo by Pulpolux !!!

M君は、会社から逃げ出すことができました。あとで知ったことですが、今まで何人もの人が、一年以内に退職していました。B君以外の人は皆、他の会社で働いたことがあったため、この会社の異常さに気づくことができましたが、就業経験の無かったB君は、これが普通だと思い込み、今でも洗脳状態に置かれています。かつての明るく素直だったB君は、もうどこにもいません。

 

終わり。

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