会津藩の出てくる小説まとめ
最近、ブラック企業時代には出来なかったことをしようと思い、本をあれこれ読んでいます。
時代小説も何冊か読んだのですが、偶然、今年の大河ドラマの舞台になっている会津藩が登場する本に連続で当たったので、まとめてみます。
『惣角流浪』今野敏
大東流合気柔術の創始者といわれる会津藩士・武田惣角を主人公とした小説です。合気道を創始した植芝盛平は、この人の弟子でありました。
物語の冒頭でまだ若い惣角は、会津藩独自の武術である御式内の修行に励みます。その後全国を回り、史実であるかどうかは分かりませんが、沖縄で琉球空手の達人と出会い、その技を取り入れ、独自の柔術を作り上げていきます。
御式内も琉球空手も、少ない動きで大きな力を出す、という共通点があり、その体の使い方が克明に描写されていて、かなりかっこいいです。真似してみたくなります。こういった体の使い方は最近「古武術」として親しまれています。例えば腰を痛めずに介護する方法などとして取り入れられていますが、『惣角流浪』のテーマもそれに近いものがあります。
『王城の護衛者』 司馬遼太郎
こちらは司馬遼太郎の短編集ですが、タイトル作の『王城の護衛者』に会津藩が登場します。幕末、京都守護職に任ぜられた会津藩主・松平容保が主人公で、天皇に忠誠を誓う健気な姿に涙を誘われます。
いかにして会津藩の風紀が作られ、戊辰戦争へと繋がっていったのか、この一作を読むだけで手に取るように理解できます。松平容保は写真も何枚か残っていますし、司馬遼太郎の心理描写が巧みなこともあって、妙に親近感を感じるようになりました。歴史の勉強が苦手でも時代のダイナミズムを感じられるのが時代小説の良いところであり、『王城の守護者』はその典型であると思います。
『天地明察』冲方丁
以前にもご紹介したことがあるのですが、『天地明察』にも会津藩がでてきます。主人公は江戸時代の天文学者・渋川春海で、会津松平家初代藩主・保科正之らの力を借りて改暦を目指します。
主人公が江戸の会津藩邸に住んでいるため、会津藩の武士の質実剛健な性格などにも詳しく触れられていて、読んでいるとだんだん会津藩が好きになってきます。
どれも文句なしに面白い小説です。歴史小説に興味が無い人にもおすすめですので、お正月休みにでも読んでみられてはいかがでしょうか。
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