月岡芳年展と小原古邨展を見に行ってきました
すでに終了している、また終了間近の話題となってしまいますが、2018年下半期で見た展覧会が素晴らしかったので記録を残しておこうと思います。
芳年-激動の時代を生きた鬼才浮世絵師 練馬区美術館
2018年8月5日から9月24日まで開催されていた展覧会でした。
場所は西武池袋線中村橋駅から歩いてすぐの練馬区美術館。横に保育園がありのどかな雰囲気です。
1839年から1892年まで生きた最後の浮世絵師と言われる月岡芳年の作品を263点集めた展覧会(展示替えあり)で、多少混雑はしていたものの、心ゆくまでじっくりと眺めることができました。全部見るのに2時間ぐらいかかりました。
展示には画稿や素描もあり、天才の努力の跡が垣間見えました。
月岡芳年はとにかく構図がかっこいい!全体の構図もさることながら、人物の体の動きも大胆で見ていて気持ちが良くなります。
Fujiwara no Yasumasa Playing His Flute in the Moonlight | The Art Institute of Chicago
また色もポップで、江戸末期から明治にかけて刷られたものであるためか、未だにその鮮やかさを保っていて全く古臭さを感じません。
芳流閣両雄動(明治18年)
この展覧会は図録も素晴らしく、まず装丁がめちゃめちゃ豪華でかっこいい。
そして下の写真のような折り込みが何箇所かあって、超凝ってる。
さらに巻末に一点ずつ詳細な解説がついていて、歌舞伎などに詳しくなくても絵に関わるストーリーを堪能することができます。買って良かった…!
原安三郎コレクション 小原古邨展 ー花と鳥のエデンー 茅ヶ崎市美術館
神奈川県の茅ヶ崎市美術館で2018年9月9日から11月4日までの日程で開催されている「原安三郎コレクション 小原古邨展 -花と鳥のエデン-」も見てきました。
茅ヶ崎駅からも歩いていけますが、美術館の駐車場や、すぐ近くに民間の有料駐車場もあります。ただ、周辺の道が細く住宅街で歩行者もたいへん多いため要注意です。
会期半ばの10月7日にNHKの日曜美術館で古邨が紹介されたようで、私が行った会期末には建物の外で入場制限をするほどの混雑となっていました。美術館の職員の方も戸惑っていらっしゃる様子でしたが、上野の企画展のように人だかりで作品が見えないほどではなく、間近でゆっくり見ることができました。この展覧会はフラッシュを使わなければ写真撮影可でした。(自分は撮ってませんが…)
前後期あわせて約230点、そのすべてが当時は身近にあったであろう自然を題材としており、特に雀や鷺などは何度も登場しますが、構図や季節を変えて様々に表現されていて、まさに「花と鳥のエデン」といった趣でした。
鳥の羽毛や木の枝、虫の足のような細部は、教えられなければ木版画とは信じられない細かさで、ここだけ後で筆で描いたんじゃない?と思いたくなりましたが、でも目を近づけてよく見ると紙が凹んでいて確かに版画なのです。自分の横で見ていたおばさま方に至っては水彩画だと思いこんでいて面白かったです。
図録は1ページあたりの掲載点数が多く、詳細な線まで見ることはできませんが、解説を含めてすべてに英訳が付けてあり、古邨の海外での人気が伺えます。
過去にこのブログで扱った2点も展示されていました。
当時は作品名が調べても出てこなかったのですが、今回の展覧会でそれぞれ「月に白梅(White Plum Blossaoms and Moon)」と「踊る狐(Dancing Fox)」であることが分かりました。
ちなみに月岡芳年は「月百姿」シリーズ、小原古邨はかなりの作品数を、同じ滑稽堂という版元から出版しているそうです。古邨は1926年以降、川瀬巴水の版元として有名な渡邊版画店からも多数の絵を出しています。新版画の黄金期だったのですね。
というわけで、グッズのポストカードを額装したり図録を眺めたりして余韻に浸っておりますが、そろそろ新しいシネマグラフでも作りたいところです。では。
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月が芳年を愛したのか!? 月岡芳年 月百姿